近江鉄道のある風景 ~ノスタルジックな景色へご案内します~
令和の時代に受け継ぎたいなつかしい面影
滋賀県の東部を中心に運行する近江鉄道は、明治31年(1898年)の開業以来、120年以上にわたって滋賀県民に親しまれてきました。
車窓からはのどかな田園風景やかつての近江商人が築き上げた伝統ある町並みを眺めることができるほか、開業当時の駅舎や登録有形文化財に指定されている駅舎など、いたるところで昔懐かしい風景に出会うことができます。
そこで今回は、近江鉄道が持つ昔懐かしい風景をご紹介します。
<近江鉄道について>
明治29年(1896年)に設立された近江鉄道株式会社は、明治31年(1898年)に彦根~愛知川駅間の鉄道を開業して以来、120年以上にわたって滋賀県民の足となり親しまれてきました。現在では近江鉄道本線(米原~貴生川)、八日市線(八日市~近江八幡)、多賀線(高宮~多賀大社前)の3路線、総沿線距離59.5km、33駅を走っています。
(元西武鉄道の車両が活躍しています!)
【開業当時のものから登録有形文化財まで~駅舎特集~】
近江鉄道には全部で33の駅があり、それぞれの駅舎には特徴的なものが多くあります。その中からいくつか紹介します。
◆駅舎が登録有形文化財に指定「鳥居本駅」
彦根市にある鳥居本駅の駅舎は、独特の腰折れ屋根を持つ洋風建築が特徴。平成25年(2013年)には、登録有形文化財に指定されました。2007年には「世界一長いコンサート」を開催してギネスに認定されています。
◆洋風レトロな木造駅舎「新八日市駅」
東近江市にある新八日市駅の駅舎は、洋風レトロな木造駅舎。元々は八日市線の前身である湖南鉄道の駅として、大正2年(1913年)に開業しましたが、昭和19年(1944年)から近江鉄道の駅となりました。駅舎の右側はツタで覆われており、映画のワンシーンのような雰囲気を漂わせています。
◆近江商人屋敷をイメージした駅舎「五箇荘駅」
近江商人発祥の地である五個荘の景観に合わせた「五箇荘駅」の駅舎は平成12年(2000年)に新しく誕生しました。建物から突き出た部分の屋根は五角形をしています。ちなみに、五「箇」荘駅となっているのは、当時の地名表記に基づいているためです。
◆現存する最古の駅舎「桜川駅」
東近江市にある桜川駅は、近江鉄道が開業した2年後の明治33年(1900年)に誕生しました。現在も開業当時の駅舎をそのまま使用しており、近江鉄道の駅舎の中では最古のものです。
◆ちゃんと電車が停まります「水口松尾駅」
甲賀市にある水口松尾駅は、辺り一帯は畑や木々に囲まれており、これぞローカル線といった雰囲気が漂っています。もちろん現役の駅として活躍しています。付近の学生の通学利用を中心に使用されており、2018年の統計では1日平均で64人がこの駅から乗車しています。
<沿線ピックアップ>
日本茶専門のカフェ「茶ろん 坪六」
近江商人屋敷をイメージした駅舎がある五箇荘駅から徒歩6分のところにある「茶ろん 坪六」は、日本茶専門のカフェ。日本茶インストラクターの資格を持つ店主の坪田さんが、地元の活性化につなげたいと2014年にオープンしました。
資格を活かしたメニューの数々
ここで提供されるメニューは、坪田さんの持つ日本茶インストラクターの技術や知識が存分に活かされています。あんみつやぜんざいといった和菓子はもちろん、プリンやパフェといった洋菓子メニューもそろえています。またこのお店では、自分の好きな茶碗を選んでお茶を点ててくれるのも魅力です。
築およそ100年の古民家を改装
建物は16代続く米穀商の商家を改装した築およそ100年の古民家。中庭には枯山水が広がっているなど、心から落ち着くことができる空間が広がっています。
「茶ろん 坪六」
●所 在 地 :東近江市宮荘町141-1
●アクセス:近江鉄道「五箇荘駅」より徒歩6分
●営業時間:13:00~18:00(L.O.17:00)
●定 休 日 :月・火・水
※土・日の10:00~12:00は「茶道教室」を開催
●問合せ先:0748-48-2067
●参考URL:http://tsuboroku.com/wp/
【その場所までは徒歩何分?「〇〇前駅」を大調査!!】
近江鉄道33駅のうち、「〇〇前駅」と名付けられた駅は5つあります。目的の場所までは何分かかるのか一挙紹介します!
◆駅舎を抜けると大学の敷地に!「大学前駅」
近江鉄道本線にある大学前駅。電車を降りて駅舎を抜けると、そこはすでに「びわこ学院大学」の敷地内。もはや「大学前」ではなく「大学中」と名乗っても過言ではない駅といえます。徒歩0分!
◆2つある企業の請願駅「京セラ前駅」「フジテック前駅」
東近江市にある「京セラ前駅」、彦根市にある「フジテック前駅」はそれぞれ、京セラ滋賀蒲生工場とフジテック本社へ向かう人が利用する請願駅。どちらも駅から徒歩10分ほどの距離にあり、利用者のほとんどは通勤の方々です。
(フジテック前駅の後方にはエレベーターの研究塔が建っている)
◆寺社仏閣巡りの拠点に「多賀大社前駅」「太郎坊宮前駅」
多賀町にある多賀大社、東近江市にある太郎坊宮(阿賀神社)は、どちらも県内外から多数の参拝客が訪問する観光地。近江鉄道ではそれぞれの名前を冠した駅があります。「多賀大社前駅」から多賀大社は徒歩10分、「太郎坊宮前駅」から太郎坊宮は徒歩20分ほどで到着します。「〇〇前」という割に少し遠いと感じるかもしれませんが、この道も参道だと思えば意外と楽に到着するかもしれません。
【快適な観光をお手伝いサイクルトレインのご案内】
近江鉄道では、電車内への自転車の持ち込みが可能な「サイクルトレイン」を実施しています。びわ湖を自転車で一周する「ビワイチ」で使用する本格的なものはもちろん、ママチャリといった一般的な自転車も、持ち込み料無料(電車運賃のみ)で車内に持ち込めます。沿線のサイクリングや観光にぜひご利用ください。
●利 用 日 :毎日
※沿線でのイベント開催や年末年始など、混雑が予想される場合は持ち込みを制限することがあります。
●利用時間:(平日)おおむね9:00~16:00、(土・日・祝日)終日
※彦根駅・新八日市駅・太郎坊宮前駅・市辺駅・平田駅・ 武佐駅・近江八幡駅への持ち込みはご遠慮ください。
※6人以上での持ち込みの際は事前に連絡をお願いします。
【撮り鉄さんいらっしゃい!近江鉄道のフォトスポット】
ここでは、近江鉄道の魅力的なフォトスポットを紹介します。
◆高宮駅のホームは珍しい三角形型
本線と多賀線の接続駅となる高宮駅のホームは、全国でも珍しい三角形です。多賀大社前駅へと向かう線路が大きくカーブしているためこのような構造になりました。駅前はかつての中山道の宿場町、高宮宿として栄えたところで、今でも当時の雰囲気と昭和の町並みが合わさった景色を見ることができます。
◆愛知川にかかる真っ赤な橋梁
愛知川~五箇荘駅間の愛知川に架かる愛知川橋梁は真っ赤な色合いが特徴の全長239mの橋梁です。イギリスの橋梁技術の特徴であるトラス式(部材同士を三角形につなぎ合わせた構造)を採用しており、平成20年(2008年)に登録有形文化財に登録されました。全国的にも貴重で、フォトスポットとしても人気の場所です。
◆近江鉄道と新幹線のコラボ写真
高宮~愛知川駅付近は、東海道新幹線の線路と平行するように走っています。そのため、時間が合えば近江鉄道を走る電車と新幹線のコラボ写真を撮ることが可能です。近江鉄道を一瞬で追い抜く新幹線をぜひカメラに収めてください。
<沿線ピックアップ>
美人祈願の神社「豊満神社」
愛知川駅から徒歩20分のところにある「豊満神社」は、源頼朝や豊臣秀次などが戦勝祈願に訪れたと言われる由緒ある神社。ほかにも厄除けや縁結びの神としても人々の信仰を集めています。
中でも近年、「豊満」という名前から美人祈願にご利益があると注目を集めています。本殿の裏には「美人の木」と呼ばれる樹齢300年の木があり、美肌にご利益があると言われています。境内には近くの川で取れたハート型の石も安置され、参拝すれば恋愛運が上昇するかもしれません。
「豊満神社」
●所 在 地 :愛知郡愛荘町豊満392
●アクセス:近江鉄道「愛知川駅」より徒歩20分
●拝観時間:10:00~17:00(授与所)
●問合せ先:0749-42-3448
●参考URL:https://toyomitu.jimdo.com/
【今月オープンの新施設!近江鉄道の歴史や魅力が集結 「近江鉄道ミュージアム」】
八日市駅の2階に11月2日にオープンした「近江鉄道ミュージアム」。「気軽に見る(歴史を楽しむ)、触れる(体験を楽しむ)、知る(沿線地域を楽しむ)」をコンセプトに、近江鉄道120年の歴史を紹介する展示や、運転士気分を体験できる運転席BOX、地域の魅力を発信する観光案内スペースなどを設けています。
「近江鉄道ミュージアム」
●所在地:近江鉄道「八日市駅」2階(改札内)
●開館時間:10:00~16:00(年中無休)
●料金:無料
※改札内にあるため、列車に乗車されない方は改札にて「ミュージアム記念入場券」をお受け取りください。なお、この入場券での列車への乗車はできません。
みなさん、いかがでしたでしょうか。長年滋賀県民に親しまれている近江鉄道。趣のある駅舎、レトロな車両、沿線の素敵なスポットを見にぜひお越しください。
「近江鉄道株式会社」
所在地 | 彦根市駅東町15番1 |
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ホームページ | 近江鉄道グループ |
お問い合わせ |
近江鉄道株式会社 TEL:0749-22-3301 FAX:0749-23-8418 E-mail:info@ohmitetudo.co.jp |
●1デイスマイルチケットのご紹介
湖東路の観光や、近江鉄道沿線の散策に便利でお得な「1デイスマイルチケット」。1枚あれば、近江鉄道(電車)全線を1日自由に乗り降りできます。また沿線にある各種施設でチケットを見せると、様々な特典を受けることもできます。
料金:大人900円、小人450円 発売日:金・土・日・祝日(年末年始を除く) 購入方法:駅窓口または乗務員より購入ください。