近江の聖徳太子を巡る!疫病退散の旅(東近江地域)

聖徳太子にまつわる伝承が多く残されている滋賀県の東近江地域(近江八幡市・東近江市・日野町・竜王町)では、聖徳太子薨去1400年を記念して、聖徳太子ゆかりの社寺を中心としたキャンペーンを開催しています。

今回は、「疫病退散」をテーマに、聖徳太子ゆかりの社寺と、関連する食文化や体験をするツアーに参加してきました!

◇「商売繁盛」編はこちら ⇒ 近江の聖徳太子を巡る!商売繁盛の旅(東近江地域)

百済寺

東近江市にある百済寺は、飛鳥時代、西暦606年に聖徳太子の勅願で創建された、県内最古級の寺院です。

百済寺

紅葉の名所「湖東三山」の一つでもあり、宣教師ルイス・フロイスが「地上の天国」と絶賛した境内では、四季折々の景色を楽しむことができます。

入口にあたる赤門から本堂までは、湖東三山の中でも最も長い表参道となっていますが、今回は、中腹にある駐車場までバスで向い、通用門から入観しました。

百済寺 通用門

通用門から受付を通り過ぎると、不動堂があります。こちらでは、木造不動明王二童子像が祀られています。

百済寺 不動堂

その近くにある「下乗の碑」。昔の人々は、ここで下乗=駕(かご)を下りて、参拝されたそうです。

百済寺 下乗の碑

続いて、本坊庭園に向かいました。

この庭は、大きな池と変化に富む巨岩を配した豪華な池泉廻遊式ならびに観賞式庭園です。

百済寺

訪れた時期は3月上旬の閑散期ですが、深緑や紅葉の時期はとても色鮮やかな庭園となります。

また、本坊庭園は別名「天下遠望の名園」と称されており、石段を上った先にある展望台で広大な景色を望むことができます。
天気が良いと、比叡山も見えるそうです!

百済寺 天下遠望の名園

石積みでできた参道を上って本堂へ向かいます。足腰が鍛えられますね。

百済寺

仁王門に到着しました。仁王門は、寺の守護神として仁王(2体の金剛力士)像を安置する門です。
寺の中に悪いものが入りこまないように置かれています。

百済寺 仁王門

正面につり下げられた一対の大草履は、地域の老人会の方々によって作られたものです。
昔は、仁王像の足の大きさ程度だったものが、触れると身体健康・無病長寿の御利益があると言い伝えられ、草履が大きいほどにご利益も大きいと、どんどん大型になっていったそうです。この門をくぐるだけで、厄除けになりそうですね!

仁王門を過ぎると、本堂に到着しました。

■本堂(国重要文化財)

本堂を含め百済寺は、室町・戦国時代には度重なる兵火や焼討を受け消失しましたが、江戸初期に復興しました。

百済寺 本堂

本堂の内陣には、秘仏本尊の2.6mもある巨像の十一面観音立像が安置されています。
聖徳太子が、根がついたままの大木で観世音菩薩像を作り上げるよう指示し、第一刀を入刀された「植木の観音」であったと伝えられています。

普段お目にかかれない秘仏ですが、令和4年10月1日(土)〜16日(日)の特別拝観で開帳を予定されております!33年に一度の貴重な機会です!

■極彩色「聖徳太子考養像」

本堂の内陣に祀られている「聖徳太子考養像」です。

百済寺 聖徳太子考養像

寺伝によると、この像は、江戸時代に徳川将軍から寄贈されたもので、徳川家光の乳母 春日局(かすがのつぼね)が生前に大奥で大切に拝んでいた像であると言われております。

■近江聖徳太子霊跡 特別御朱印

聖徳太子ゆかりの社寺を中心としたキャンペーンで頒布している「近江聖徳太子霊跡 特別御朱印」です。
東近江地域の11社寺にて共通印を使用し、市町ごとに和紙の色を変える、こだわりの御朱印です!

百済寺 近江聖徳太子霊跡御朱印

東近江市の花「ムラサキ」から、紫色の和紙を使用。
『和力』は、コロナ禍後の難題に向かって全員で総力を結集(和の力の大きさと方向)して解決しよう、という意味をもっています。

《 釈迦山 百済寺 》
所在地 東近江市百済寺町323
拝観時間 8:00~17:00
寺宝拝観要予約
ウェブサイト http://www.hyakusaiji.jp/

昼食:大陸文化を再現した「聖徳太子近江韓流膳」

昼食の会場は、東近江市のレストラン「ファームキッチン野菜花(のなか)」です。

ファームキッチン野菜花

「ファームキッチン野菜花」は、あいとうふくしモール内にあるレストランです。
地元のお母さんたちがつくる"ちょっとしゃれた田舎料理"をコンセプトに、旬の採れたて野菜中心のメニューを提供しています。

今回いただいた特別メニューがこちら。

聖徳太子近江韓流膳

聖徳太子近江韓流膳」は、聖徳太子がもたらした大陸の文化と、近江の文化との融合をイメージして作られました。

■太子芋の餡掛けと太子チヂミ、百済寺樽

太子芋の餡掛け、太子チヂミ、百済寺樽の粕汁

東近江市清水地区で採れる東近江特産の里芋「清水芋(しゅうずいも)」を使った芋餅の餡掛け(写真左)です。
この里芋を聖徳太子が大変好まれたことから「太子芋」とも呼ばれています。

汁物は、「百済寺樽」という百済寺で醸造される清酒の酒粕をふんだんに使った粕汁です。(中央奥)

太子チヂミ(写真右)は、聖徳太子が持って帰ってきた韓国料理のチヂミと、近江の融合を目指し、近江の野菜や琵琶湖のスジエビをいれて作られています。
地元産の味噌をベースにしたソースを付けていただきます。

太子チヂミ 断面

■惣祈祷(そぎと)料理

酢ゴボウ(左)・たたきごぼう(上)・アラメの煮たもの(右)・二味唐辛子(下)です。

惣祈祷料理

「惣祈祷(そぎと)」とは、百済寺本町と上山町で1月の中旬~下旬に行われる、町内安泰と無病息災をお祈りする伝統行事です。
その昔、百済寺郷が大飢饉や疫病に見舞われた際、村人と僧侶が一同総出でお祈りをしたことがはじまりです。
長時間にわたり仁王般若経を読経したあと、この「惣祈祷料理」をあてに、清酒を参加者一同で飲み干します。

今回は、惣祈祷料理のみでいただきます。

■メインプレート

メインプレート

地域の野菜を使った料理で構成されているプレートです。肉は一切使用されていないんです!
中央がトマトのゼリー寄せ、上から右回りに、ネギと麩の串揚げと永源寺こんにゃくのフライ・赤米と角井スイカの奈良漬け・ジャガイモのナバカリー・もどき蒲焼・白和え・丁字麩の酢味噌和えです。
旬に合わせてメニューが変更となる場合もあるそうです。

■愛東野菜の蒸し物

愛東野菜の蒸し物

地域で採れる野菜の蒸し物です。

野菜中心のメニューですがボリューム満点!とてもお腹いっぱいになりました。

■デザート

最後に、デザートも!左から、豆腐のマフィン・生姜のパウンドケーキ・金柑ゼリーです!

愛東野菜と果物を使ったデザート

豆腐のマフィンはふんわりとした食感で、生姜のパウンドケーキは堅めの生地に生姜の味が効いていました。金柑ゼリーはさっぱりとした味わいでした。

とても体に良いものばかりで、美味しかったです!

《 ファームキッチン野菜花 》
所在地 東近江市小倉町1975-3 あいとうふくしモール内
営業時間 11:00~17:00
定休日 火曜日
TEL 0749-46-1455

瓦屋寺(瓦屋禅寺)

聖徳太子が大阪の四天王寺建立の際、この山の土を用いて瓦を106,000枚以上造らせたのが寺名「瓦屋寺(かわらやじ)」の由来とされています。その後、禅宗のお寺となり、「瓦屋禅寺(かわらやぜんじ)」となりました。

瓦屋寺

現在、本堂(国登録有形文化財)は、令和5年の特別大開帳に向けて修繕工事中でした。

瓦屋寺 修繕中の本堂

以前の本堂の写真はこちら↓ 綺麗な本堂の姿が楽しみですね!

瓦屋禅寺 本堂 青モミジ

秘仏の本尊は、聖徳太子が斧で一刀したとされる「十一面千手千眼観音菩薩立像」で、国の重要文化財に指定されています。
「千手千眼」の名のとおり、千本の掌それぞれに眼があり、どんな願いでも漏らさず見つけ、救済しようとする慈悲の広大さを表しています。
疫病にも御利益がある観音菩薩は、聖徳太子薨去1400年事業として令和5年10月1日(日)~12月3日(日)まで、50年ぶりに特別大開帳を予定されています。

■地蔵堂(国登録有形文化財)

地蔵堂に安置されている聖徳太子御作の「子育子安地蔵菩薩」です。

瓦屋寺 子育子安地蔵菩薩

よく見ると地蔵菩薩像の顔に、縦に縞が入っています。これは、お産の苦しみを代わりに取り除いてくださる姿だと伝わっています。

ほかに地蔵堂内には、観世音菩薩が人々を救うため化身される三十三身の檜板絵が保管され、天井には雲龍図が配置されています。

■近江聖徳太子霊跡 特別御朱印

瓦屋禅寺で頒布している「近江聖徳太子霊跡 特別御朱印」です。

近江聖徳太子霊跡 特別御朱印 瓦屋寺

『斑鳩殿』は、瓦屋禅寺の境内に明治初期まで現存した聖徳太子を祀る太子堂です。
自然災害により崩壊したとされ、現在お堂は残っていませんが、斑鳩殿の本尊「聖徳太子二歳像」は本堂に移されました。
令和4年5月22日(日)からスタートする「聖徳太子1400年悠久の近江魅力再発見」キャンペーンの期間中、本堂にて開帳されます。(令和5年12月3日(日)まで)

御朱印は、庫裡書院(国登録有形文化財)内で授与することができます。

瓦屋寺 庫裡

だるまの中におみくじが入った「紅白だるまみくじ」もあります!

瓦屋寺 紅白だるまみくじ

職人さんが手作業でだるまを描いているため、一つ一つ異なる表情をしています。引いただるまはお持ち帰り可能です♪

瓦屋寺 だるま

《 瓦屋禅寺 》
所在地 東近江市建部瓦屋寺町436
拝観時間 8:00~16:00
ウェブサイト http://www.kawarayaji.com/

長光寺

近江八幡市にある長光寺は弘法大師を宗祖とし、高野山金剛峯寺を本山とする高野山真言宗のお寺です。

長光寺

聖徳太子が建立したお寺の一つで、その当時には壮広たる七堂伽藍であったことが古書に記されています。

長光寺 本堂

聖徳太子の妃が難産に苦しまれていたとき、仏のご加護を賜るようにお祈りすると、仏の遣いの童子が現れ安産され、童子が去った方向にあったハナノキで千手観音像を彫られたのが長光寺のはじまりと言われています。
そのハナノキの根元にあった霊石に手を合わせると、光明の中から千手観音が現れた、とも伝えられています。

長光寺 霊石

本尊は『千手子安観世音菩薩』で、飛鳥時代より継承される五色に光る霊石は、安産祈願で多くの人に親しまれています。

■長光寺のハナノキ

境内には近江八幡市の天然記念物指定されているハナノキが植えられています。

長光寺のハナノキ

高さ約15メートル、周囲約3メートルの巨木で、4月上旬に可憐な花が咲きます。

訪れた日(3月7日)は、ハナノキの花は見られませんでしたが、境内ではきれいな梅の花が咲いていました。

長光寺 梅

■近江聖徳太子霊跡 特別御朱印

近江聖徳太子霊跡 特別御朱印 長光寺

近江八幡市の「近江聖徳太子霊跡 特別御朱印」は、白い和紙を使用されています。

《 真言宗 長光寺 》
所在地 近江八幡市長光寺町694
拝観時間 10:00~16:00
ウェブサイト https://cyokoji.com/

木珠を使った数珠ブレスレット作り

最後は、聖徳太子によって伝授された「木珠」の工場見学と数珠ブレスレット作り体験を行いました。

近江八幡市の木珠(木製数珠玉)は、滋賀県の伝統的工芸品に認定されています。

数珠ブレスレット

聖徳太子が、仏教布教の目的で近江八幡を訪れた際、村人たちに中国から伝わった数珠玉製作の技術を伝授したことから、日本で最初の数珠づくりの礎が築かれたと伝えられています。
その後、先人たちによって受け継がれ、現在でも近江八幡市の木珠は全国の70%の生産量を誇っています。

■工場見学(株式会社カワサキ)

木珠を製造する工場を見学させていただきました。

株式会社カワサキ

木珠は様々な種類の木片から切り出して作られています。
左側が日本の木で、右側が外国産の木です。

木珠 工場見学

外国産の木は、カラフルですが、日本の木より重いのが特徴。

次は、円形に切り出す作業をしているところにお邪魔しました。機械を用いて一つ一つ切り出していきます。

木珠 工場見学2

こちらは切り出した木珠をひとつひとつやすりで磨く作業です。

木珠 工場見学3

■舞錐(まいきり)体験

現在は機械化されている作業ですが、数珠の製造法が伝授された当時はこの「舞錐(まいきり)」という道具を使用して珠を作っていたそうです。

舞錐

切り取った木片に錐で穴をあけ、左手で舞錐をまわしながら、右手でカンナを持ち削っていきます。

舞錐体験

少し体験させていただきましたが、とても難しかったです!

■数珠ブレスレット作り体験(レアウッドビーズ美樹)

レアウッドビーズ美樹

工場から場所を移動して、八幡堀石畳の小路にある「レアウッドビーズ美樹」で数珠ブレスレット作り体験を行いました。

数珠ブレスレット作り体験

様々な木珠から好みのものを選んで、シリコン製のゴムに通して作成します。

数珠ブレスレット作り体験2

木にはそれぞれ"木言葉"が存在します。木珠選びに悩む時は木言葉から選んでみてもいいですね。

こちらは、厄除け招福の意味を持つ「槐(えんじゅ)」という木からできた木珠です。疫病退散にピッタリ!

木言葉

最後の仕上げ(ゴム結び)はお店の方にお任せして完成です!

数珠ブレスレット 完成

自分だけのオリジナルの木珠ブレスレット作り体験、是非いかがですか?プレゼントにもできますよ♪

《 レアウッドビーズ美樹 》
所在地 近江八幡市大杉町12八幡堀 石畳の小路
営業時間 10:00~17:00
定休日 火曜日
ウェブサイト http://kawasaki-beads.com/

聖徳太子1400年悠久の近江魅力再発見キャンペーン

近江八幡市、東近江市、日野町、竜王町では、令和5年12月まで聖徳太子ゆかりの社寺を中心に、秘仏の特別公開や特別御朱印めぐりなど、大人から子供まで楽しめる様々なイベントの開催を予定しています。

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聖徳太子にまつわる伝承に触れながら、東近江地域をめぐってみてはいかがでしょうか。