この時期だけ!ビワマスの遡上観察ツアーに参加してきました!(東近江市)

ビワマスという魚をご存知ですか?

ビワマスは、琵琶湖にのみ生息する固有種で、サケ科に属し、琵琶湖での回遊生活を2年半〜3年半ほど経た後、10〜11月になると産卵のために生まれ故郷の河川を遡上するという、サケとよく似た生活史をたどります。

ビワマス遡上ツアー

今回参加したモニターツアーでは、産卵期であるこの時期だけ見ることができる"ビワマスの遡上"を観察したほか、日本遺産に選定された集落での豊かな水が育んだ暮らしや、森・里・川・湖のつながりを地域に精通するガイドの案内とともに巡りました。また滋賀の食材にこだわったビワマス料理もいただきました!

ツアースタート!

朝9時半、JR能登川駅からバスで出発です!
バスは、ツアーバスやタクシーを運行する東近江市の「エイタク観光バス」です。

エイタク観光バス

東近江の西の外れからスタートし、各スポットをめぐって、ビワマスの遡上が見られる愛知川の支流 渋川を目指します。

1日ツアーに同行いただくガイドの村山さん(愛知川漁業協同組合)。
軽快なトークで、ビワマスの生態について説明してくれます。

ガイドさん

村山さんが以前撮影されたビワマス↓

ビワマス(水中撮影)

大きいのもだと、60cmほどに成長するそうです!

ビワマスは、10月~11月の雨がたくさん降った後、産卵のため遡上を行う習性があることから、別名「アメノウオ(雨の魚)」とも呼ばれています。

琵琶湖眺望 [栗見出在家浜~愛知川河口]

最初の目的地は、東近江市の西端に位置する栗見出在家(くりみでざいけ)町の琵琶湖岸です。
写真の右側(東側)から愛知川の河口へと繋がります。

栗見出在家浜

川で孵化したビワマスは、川を下って琵琶湖へ向かい、2年半〜3年半琵琶湖で過ごします。
その後、川へ遡上し、産卵後一生を終えます。

左側に見える島は沖島です。

栗見出在家浜 

良く晴れた日には、遠くに多景島や竹生島が見えます。夕日が綺麗だと、ガイド村山さんのおすすめです。

日本遺産「伊庭の水辺景観」を散策

栗見出在家町の琵琶湖岸から離れ、次に向かうのは湖東平野に残る水郷集落のひとつ伊庭(いば)です。
途中、伊庭内湖の水位を調整している「大同川水門」を車窓から見学。

大同川水門

東近江市の景色と暮らしを学びながら進んでいきます。

■水辺の郷 伊庭

伊庭の景観は、平成27年に日本遺産「琵琶湖とその水辺景観 -祈りと暮らしの水遺産-」の構成文化財として認定されました。
伊庭川から引かれた水路が町中を縦横に巡り、豊かな水量と清らかな水質が内湖と繋がり、 人々の生活を今も支えています。

伊庭の水辺景観 地図

ガイドの中村さんと共に約1時間、伊庭の景観を散策します。

ガイド中村さん

水路には、澄んだ水が流れており、鯉や小魚が泳いでいます。

伊庭の水辺景観 水路

伊庭の水辺景観 水路2

各家から水路へ降りる「カワト」と呼ばれる階段が多く残っており、人々の生活が水とともにあったことが実感できます。

伊庭の水辺景観 カワト

昔は水路の幅も倍くらいあり、人々は田舟を利用して生活していたそうです。

田舟

下は、正厳寺近くにある撮影スポットとして人気な田舟です。

田舟

他にも多くの鯉が泳ぐ「鯉ゾーン」や、5月下旬から6月にかけてホタルが見られる妙金剛寺川の「ホタルゾーン」などがあります。
天気も良く、気持ちの良い散策でした!

昼食・五個荘「湖香六根」

「伊庭の水辺景観」散策の後は、近江商人発祥の地・五個荘(ごかしょう)地区にある、古民家レストラン「湖香六根(うかろっこん)」でビワマス料理を味わいます。

湖香六根

もともとは近江商人に邸宅であったものを古民家レストランとして再生した贅沢な空間で、
若き店主と女将が滋賀の食材にこだわった料理の数々を料理の説明と共に楽しむことができます。

先付けは、お豆腐。かぼちゃバターナッツの豆腐です。赤蓼(たで)・大麦・橘胡椒が添えられています。

湖香六根 先付け

次に、前菜(左)には、ビワマスのなれずし(ごはんと魚と塩を合わせて乳酸発酵させたもの)、焼き物(右)には、ビワマスの味噌幽庵焼きなど、ビワマス料理が続きます。

前菜+焼き物.jpg

続いて、ビワマスのお寿司。こちらは海苔を挟んで一口でいただきます。

ビワマスのお寿司.jpg

揚げ物では、ワカサギの天ぷらと、ビワマスの柿の天ぷらという珍しい組み合わせの天ぷらをいただきました。柿の甘味がとてもマッチしていました。

揚げ物.jpg

ご飯ものは、ビワマスの漬けご飯。ビワマスのたまごが添えられています。
半分はこのままいただき、半分は出汁をかけてお茶漬けにしていただきます。

ビワマスの漬けご飯

デザートの糖水でコースは最後です。中にはイチジクやざくろなどのフルーツも入っていて、甘すぎずさっぱりとした味わいです。

糖水

流通量が少なく、なかなか口にすることができないビワマスを、多様な料理で味わうことができるコースでした!

【湖香六根】
〒529-1441 滋賀県東近江市五個荘川並町713
営業時間 昼 11:30~16:00(LO 14:30)/夜 18:00~(要予約)
定休日 火・水曜日
http://uka-rokkon.com/

河辺いきものの森

昼食後は、東近江市にある里山「河辺いきものの森」で人々と自然との繋がりを学びます。

水害の防備や農用林(里山)として大きな役割を果たしていた河辺林(河川に沿って分布する森林)は、今日ではその多くが開発にさらされたり、管理が放棄されたりして、その姿を失いました。
「河辺いきものの森」は、里山保全活動団体 遊林会の保全活動によって、今でも人と自然との繋がりを保ち、体験学習や環境学習の場などとして活用されています。

この日も多くの子供たちが、自然体験学習に訪れていました。

河辺いきものの森1

保全中のエリアは青いテープで保護されています。

河辺いきものの森2

■小さな堤防「サルオ」

森林の中に、「サルオ」と呼ばれる玉石を積み上げて作られた小さな堤防があります。

堤防 サルオ

愛知川はかつて、大雨などによってたびたび洪水を引き起こしていました。
川からあふれた水が集落に押し寄せるのをくい止める役割が、この河辺林です。
小規模の増水時には、この小さな堤防「サルオ」が水を止めていたそうです。

堤防「サルオ」

■野神さん

森の恵みに感謝し、森の守り神として、野神さんがまつられています。

野神さん

祭壇の前に広い空間があります。ここで、村人たちによって祝い相撲がとられていたそうです。

森林を抜けると、目の前に愛知川が流れています。
東近江市の森川里湖の豊かな自然の多くは、愛知川でつながり、生まれ、育まれています。

愛知川

河辺いきものの森
滋賀県東近江市建部北町531
ネイチャーセンター開館時間(入場無料) 9:00~16:30
定休日 月曜・祝日の翌日・年末年始

ビワマス見学![愛知川支流 渋川]

さて、本日のメイン!いよいよビワマスの遡上見学です!
愛知川の支流 渋川へ。

渋川

渋川

ガイドさんの案内のもと、川を上っていきます。

渋川2

長靴必須!用意してもらった長靴を履いて、岩場を進んでいきます。

渋川3

遡上途中のビワマスを発見!!2匹います!

渋川4

この流れの激しい岩場にも...

渋川5

ビワマスがいるのがわかりますでしょうか?

渋川6

ここにいたビワマスはおそらく産卵を終え、まもなく力尽きるところのようです。

ビワマス

尾ひれや体がボロボロになりながら子孫を残すため一生懸命に産卵活動を行う、そんなビワマスの姿を観察することができました。

ビワマスの遡上観察ツアー、いかがでしたでしょうか。
今回は10月28日に催行されたツアーに参加しましたが、11月の今頃でもビワマスの遡上の様子がよく見られるとおっしゃられていました。
ツアーは毎年開催される予定ですので、興味がある方はぜひ参加してみてください♪

東近江市のエコツーリズム「ヒガエコ」については 東近江市観光協会ホームページ東近江市エコツーリズム推進協議会ブログ をご覧ください。