滋賀の線路沿いには、電車の窓越しだけでは味わえない景色と、駅前ならではの味わいがあります。
歴史ある町並みや湖をのぞむ絶景スポット、そしてここでしか出会えない食体験を巡りながら、駅を起点に広がる旅の魅力を体感してみませんか。

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京都・大津方面から琵琶湖に沿って西を走る湖西線。
朝の光を受けてきらめく湖面と、緑が美しい比良山系。都市の喧騒を離れていく実感が、静かに胸に広がっていきます。
今回は、比叡山坂本・志賀・堅田の3駅をめぐる小さな鉄道旅をご案内します。

1.比叡山坂本駅 ― 石積みの町と風情ある町歩き

比叡山坂本駅は、歴史と自然が調和する門前町の拠点駅。
駅を降りると、山からの爽やかな風に混じって、古い町並みの落ち着いた雰囲気が肌で感じられ、散策への期待が自然と高まります。

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ここから、比叡の旅が動き出す。坂本ケーブルの始発駅。

比叡山坂本駅からケーブル坂本駅までは徒歩約25分。バスの利用も可能です。ケーブル坂本駅から日本最長の「坂本ケーブル」に乗れば、約11分で世界遺産・比叡山延暦寺へ。
途中の「もたて山駅」は日本で最も利用客が少ない駅として知られ、車窓からは深い緑と静かな風景を楽しめます。

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◆坂本ケーブル
https://sakamoto-cable.jp/

石の温もりと緑の香り――坂本で出会う、心ほどける時間。

比叡山坂本駅から歩いて10分ほどで、苔むした石垣と古い町並みが現れます。
この地域特有の「穴太衆(あのうしゅう)」の石積みが美しく、歴史ある門前町の雰囲気に心が落ち着きます。

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「旧竹林院」はその中でもとくに人気の観光スポット。
手入れの行き届いた庭園と、しっとりとした静けさに包まれ、外の時間が止まったような感覚になります。

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◆旧竹林院
https://kyuchikurinin.jp/

名店のお土産、至福の蓬餅(よもぎもち)

「比叡 三九良(さんくろう)」は比叡山坂本の参道沿いにある蓬餅の名店。木造の建物は落ち着いた佇まいで、四季折々の表情を楽しめる手入れの行き届いた庭があり、参道の風情と調和しながら訪れる人を迎えてくれます。

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滋賀県の特産品である甲賀市の羽二重餅と国産ヨモギをふんだんに使用したつきたての餅の中に、上品なあんこ。
ひと口食べると、柔らかさと香りに心がほどけます。

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お茶と一緒に店内でいただくもよし、お土産にもよし。坂本散策の途中に立ち寄りたい一軒です。

◆比叡 三九良
https://sankurou.com/

2.志賀駅 ― 琵琶湖に一番近い駅

志賀駅は、琵琶湖のすぐそばに立つ"湖に寄り添う駅"。ホームに降り立つと、風にきらめく琵琶湖の絶景が広がります。

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空と湖の間にある「びわ湖バレイ」

志賀駅からバスで「びわ湖バレイ前」で下車。
ロープウェイで一気に山頂へ登ると、足もとにはびわ湖がまるごと広がります。

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標高約1,100 mの山頂エリアから、晴れた日にはまるで地図のように 琵琶湖 の輪郭を感じることができます。
山頂の展望カフェ Café 360 は、子ども連れはもちろんワンちゃんも楽しめる施設が充実。家族みんなで、湖と山に抱かれる特別なひとときを過ごせるスポットです。

びわ湖バレイ

びわ湖バレイドリンク

◆びわ湖バレイ/びわ湖テラス
https://www.biwako-valley.com/

肉派も甘党も満足。志賀グルメ

志賀駅から徒歩約10分のところにある、地元で人気の焼肉レストラン「焼肉バンバン」。
レトロな店内はどこか懐かしく、入った瞬間からワクワク。でも床は油でツルツル(笑)

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まずは看板メニューのかしわうどんを注文。鶏肉はジューシーで旨味たっぷり、麺はスープと絡むともう絶品!

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焼肉も香ばしく、タレの甘みが後を引きます。

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食後には店内で販売されているオリジナルキーホルダーをゲット。
食もお土産も楽しめる、志賀駅周辺の隠れた名店です。

◆焼肉バンバン
Instagram → yakinikubanban

駅へ戻る途中、「青木煮豆店」へ。明治創業の老舗で、手づくりの煮豆とかまどで炊いた昆布巻が人気です。

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◆青木煮豆店
https://aokinimame-you.com/

3.堅田駅 ― 琵琶湖の暮らしと旅情の交差点

堅田駅に降り立つと、風の匂いが少し変わります。堅田は、琵琶湖の暮らしと旅情が交差する湖西の拠点。
駅前には賑やかな街の気配がありながら、少し離れると静かな湖畔に佇む名刹「浮御堂」へ。
日常と非日常がゆるやかに溶け合う――堅田は、そんな"滋賀らしさ"を感じられる駅です。

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堅田駅からバスでひと息、湖畔の名刹「浮御堂」へ

江若交通バスで約10分ほど「堅田出町」で下車すると、駅前の風景とは異なる昔ながらの湖畔の風景に出会えます。

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琵琶湖の湖上に佇む「浮御堂(うきみどう)」は、平安時代に恵心僧都源信が湖上安全と衆生済度を願って建立した寺院。
湖に浮かぶ美しい景観は、近江八景「堅田の落雁」としても名高く、多くの人々に愛され続けています。

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浮御堂は湖に突き出すように建ち、静かな湖面にその姿を映しています。カモが水面に集う、穏やかな風景。

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◆浮御堂(満月寺)
https://otsu.or.jp/thingstodo/spot159

琵琶湖・浮御堂を望む絶景カフェレストラン

浮御堂を望む「カフェレストラン ペコリーノ」は、古民家をリノベーションした店内で、地元食材を活かしたイタリアンやスイーツが楽しめます。
特に夕暮れ時のテラス席からの眺めは幻想的で、デートや女子会にもぴったり。ランチからディナーまで、ゆったりとした時間を過ごせます。

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窓の向こうに浮御堂を眺めながらいただくアイス抹茶ラテ。
スイーツピザは、生ハムとフルーツ、クリームの甘じょっぱさが絶妙!一口ごとに幸せが広がる、まさに"景色もごちそう"なカフェタイムです。

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お店を出ると、まるで置物かと思うほど堂々と座っているネコちゃんがいました。
見送ってくれるかのように、ゆったりとこちらを見つめていて、思わず心がほっこり。
お店の周りに住み着いているようで、もう1匹いるようですよ。

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◆カフェ ペコリーノ
http://www.pecorino.jp/

小さな旅の終わりに

堅田駅へ向かう道すがら、エリ漁の風景が夕暮れに染まり、まるで絵画のように美しい光景が広がっていました。
どこかノスタルジックでエモーショナル。思わず立ち止まり、心に焼き付けたくなる、堅田ならではの夕暮れのひとときでした。

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今回ご紹介した比叡山坂本・堅田・志賀のほかにも、湖西線・大津市エリアにはまだまだ魅力が隠れています。
琵琶湖を間近に望む風景や、静かな集落のたたずまい、季節ごとに変わる山の彩り。
電車に揺られながら、ふと途中下車したくなるような景色が、この路線にはたくさんあります。

そんな湖西線の旅へ――ぜひ訪れてみてください。