滋賀 線路沿いの物語 〜駅から広がる絶景と、ここしかない味〜 JR東海道本線 湖北編
滋賀の線路沿いには、電車の窓越しだけでは味わえない景色と、駅前ならではの味わいがあります。
歴史ある町並みや湖をのぞむ絶景スポット、そしてここでしか出会えない食体験を巡りながら、駅を起点に広がる旅の魅力を体感してみませんか。

京都・大津方面から湖北へと延びる東海道本線。
車窓に広がるのは、穏やかな田園風景と、遠くに連なる伊吹山地の稜線。
やわらかな光に包まれた湖国の風景に、時間の流れが少しずつ緩んでいくのを感じます。
今回は、米原・長浜・醒ヶ井の3駅をめぐる、湖北の魅力に触れる小さな鉄道旅をご案内します。
1.長浜駅 ― 城下町の面影と、湖畔に息づく暮らし

長浜駅は、城下町として栄えた歴史と、琵琶湖の水辺文化が息づく湖北の拠点駅。
駅を降りると、どこか懐かしさを感じる町の空気と、湖から届くやわらかな風に包まれ、黒壁の町並みや旧街道へと足を運びたくなる気持ちが自然と高まります。
城下町・長浜の物語に足を踏み入れる ―― 黒壁スクエア

長浜駅から歩いて5〜10分ほど進むと、ふと時代がゆっくりと戻るような空気に包まれる一角が現れます。
黒壁スクエアは、明治期に「黒壁銀行」として親しまれた重厚な建物を核に、古い街並みの佇まいを生かしながらガラス工房やギャラリー、カフェや雑貨店が軒を連ねる場所です。
ガラス館ではサンドブラストや吹きガラスの体験もでき、旅の思い出を自分の手で形にするひとときが楽しめます。
黒壁スクエア
https://www.kurokabe.co.jp/
秀吉・秀長兄弟の軌跡を辿る、「豊臣兄弟! 北近江長浜 大河ドラマ館」
黒壁スクエアを歩き、石畳やレトロな建物の佇まいを楽しんだあと、町の奥へと足を進めます。
通りを抜けると、長浜別院 大通寺が姿を現します。
堂境内の総会所には大河ドラマの世界を伝える「豊臣兄弟! 北近江長浜 大河ドラマ館」があります。

こちらでは、衣装や小道具、ここでしか見られないオリジナル映像を通して、大河ドラマの世界を体感できます。

戦国の世を駆け抜け、やがて天下統一の偉業を成し遂げた秀吉・秀長兄弟ゆかりの地、長浜ならではの展示が、歴史の息吹を間近に感じさせてくれます。
豊臣兄弟! 北近江長浜 大河ドラマ館 主催 北近江豊臣博覧会実行委員会
https://www.nagahama-sengoku.jp/exhibition/
素材と技が織りなす、黒壁の町の上質な和菓子 ―― 菓匠禄兵衛 黒壁店
黒壁スクエアを散策し、大河ドラマ館でドラマの世界観を感じたあとは、菓匠禄兵衛で旅の甘いひと休み。
店内に並ぶ和菓子はどれも見た目が美しく、見ているだけで旅の気分が高まります。

お土産には、やわらかな「本之木餅」、しっとり食感が新鮮な「黒壁生サブレ」、みたらし餡がとろりと広がる「福みたらし」を。
旅の余韻を、やさしい甘さとともに持ち帰ります。

福みたらし は、タレだけでも食べられるほどまろやかで甘さ控えめの逸品。
本之木餅 はしっとりとした餅と香ばしいあんこの組み合わせが絶妙で、食べるたびに素材の味を楽しめます。
黒壁店限定の生サブレ はしっとりとしたコーヒー風味の生地の中に、ビターチョコクリームが入った大人の味わい。
黒壁スクエアの散策のお供にはもちろん、手土産としても喜ばれる三品。
こだわりの素材と職人の技が詰まった和菓子・スイーツで、旅の思い出をより特別なものにしてくれます。
菓匠禄兵衛 黒壁店
https://www.rokube.co.jp/
2.醒ヶ井駅 ― 町歩きで出会う湧き水の里
醒ヶ井駅は、清らかな湧き水の町にある小さな駅です。
改札を出ると、町の奥に広がる湧き水や古い宿場町の景色が目に入り、落ち着いた雰囲気が感じられます。

宿場町の時間がゆっくりとほどけていく ―― 醒ヶ井宿。
醒ヶ井駅から歩いて5分ほどで、昔ながらの宿場町の町並みが現れます。
町を流れる湧き水や小さな橋が彩る景色は清らかで、古い町家の軒先と相まって、歴史ある宿場町の落ち着いた雰囲気に心が安らぎます。

町を流れる地蔵川は湧き水によって清らかに輝き、初夏には白い花を咲かせる梅花藻(ばいかも)が水面を彩ります。

川沿いには「居醒の清水」や「十王水」「西行水」といった名水スポットが点在し、散策の途中で立ち止まって水の音に耳を澄ませるひとときは、町の歴史と自然を肌で感じる体験です。
古い町家の軒先や石畳の道とあいまって、湧水と宿場町の風情がゆったりと心を満たしてくれます。
醒井宿
https://kitabiwako.jp/spot/spot_206
醒ヶ井宿散策のおともに名物和菓子 ―― 丁子屋

中山道・醒ヶ井宿を散策していると、どこか懐かしい佇まいの和菓子店「丁子屋」に出会います。

この日は、「伃里花(よりみち)」と「醒井餅」を購入。
梅花藻パウダーが生地に練り込まれた「伃里花(よりみち)」。
ひと口食べると、どこか野趣を感じる草のような風味がほんのり広がります。

とはいえ主役はやはり"あん"で、やさしい甘さが全体をうまくまとめてくれる絶妙なバランス。
皮はもちもちとした食感で、素朴ながらも満足感のある味わいです。

「醒井餅」は、醤油の香ばしい風味が広がる素朴なお菓子。
見た目はせんべいのようですが、せんべいほど固くなく、軽やかな食感でサクサクと食べられます。
まず口に広がるのは香ばしい醤油の風味。
そのあとにふわっとやさしい甘さが追いかけてきて、どこか懐かしい味。
旅のひとときをほっと和ませてくれような味わいでした。
丁子屋
https://www.instagram.com/tyou_jiya/
湖国の恵み・びわます料理を楽しむ ―― かなやkitchen
醒井駅から徒歩1分。素朴で温もりのある佇まいのかなやkitchen。

ここでは、琵琶湖固有のビワマスが味わえるビワマス丼を注文しました。

写真で見る以上に柔らかく、ほどよい脂の乗ったビワマスの身は、一口ごとにふわりとした優しい旨みが広がります。
琵琶湖の宝石とも称されるこの魚は、見た目の美しさだけでなく、口当たりの良さも印象的でした。
湖国の恵みを感じられるグルメは、旅の途中で食べるからこそ、よりいっそう心に残る味わいです。
かなやKitchen
https://kitabiwako.jp/spot/spot_517
3.米原駅 ― 湖国の旅が交わる、東西の玄関口
米原駅は、東海道新幹線と在来線が交わる湖北の交通の要衝です。
ホームに降り立つと、北へ続く線路の先に湖北の町並みや穏やかな風景を思い浮かべ、旅の期待が自然と胸に広がります。
静寂の中で味わう ―― 日本庭園の美と歴史
青岸寺は、室町時代初期に創建された曹洞宗の古刹で、歴史の深みと静寂が息づく寺院です。

庭園の美しさは、湖北の歴史と自然が織りなす景観の象徴ともいえ、旅の途中で静かに立ち寄り、目と心で季節の移ろいを感じることができます。

米原駅から徒歩で行ける距離にありながら、まるで別世界に来たような静けさが広がります。
旅の途中に立ち寄れば、心を整えるひとときを与えてくれる。そんな場所でした。
青岸寺散策の余韻に、米原の古民家カフェでひとやすみ ―― Cafe du MBF
青岸寺から徒歩約5分のところにある古民家カフェ&イタリアン。
町屋をリノベーションしたおしゃれな空間で、散策の余韻に浸りながらゆったりと過ごせるスポットです。

木の温もりとレトロな雰囲気が心地よく、旅の疲れをゆったり癒してくれます。
この日は、ケーキセットをオーダーしました。

伊吹牛乳を使用したカフェオレはまろやかでコクがあり、チーズケーキの甘さと絶妙にマッチ。
コーヒーは、深い香りとほろ苦さが、チョコレートの甘みを引き立てていました。
散策の余韻を感じながら、米原ならではの素材を生かしたドリンクとスイーツを味わえるカフェ。
青岸寺の静けさと、Cafe du MBFの温かい空間で、旅のひとときをしっかり満喫できました。

駅から町歩き、古い街並み、湖や川の風景、そして食――それぞれの体験が少しずつ積み重なり、湖北の魅力が五感で楽しめる旅となりました。
小さな鉄道の旅路は、ただの移動ではなく、町や自然、人々の営みに寄り添う時間。日常の喧騒を離れ、湖国の風を感じながら歩くひとときは、心にそっと余韻を残してくれます。






