滋賀 線路沿いの物語 〜駅から広がる絶景と、ここしかない味〜 JR東海道本線 湖東編
京都・大津から東海道本線に揺られて、琵琶湖の東・湖東エリアへ。
琵琶湖から流れる唯一の自然河川「瀬田川」を通過し、田園風景が広がってくると、今回の旅「湖東編」がいよいよ始まります。

近江八幡・彦根・安土の3駅で見つけた"地元に愛されるおいしい時間"をめぐってみました。
1.近江八幡駅ー古き町並みと水辺が誘うゆったり散策
近江八幡駅は、赤レンガの建物がどこか懐かしい雰囲気を漂わせます。
駅を降りた瞬間に感じるのは、歴史の町ならではの落ち着いた空気。

近江八幡の歴史と眺望を巡る旅が動き出す。八幡山ロープウェーより出発。
近江八幡駅から八幡山ロープウェーまではバスで約15分。
山麓からロープウェーに乗れば、約4分で山頂へ。
旧城下町・近江八幡の町並みや、遠くに広がる琵琶湖の景色が一望できます。


京都・村雲御所から移された「村雲御所瑞龍寺門跡」が建ち、歴史と自然がやさしく交わる空間を感じながら、近江の風景を心ゆくまで楽しめます。
◆八幡山ロープウェー
https://www.ohmitetudo.co.jp/ropeway/
石畳と水のささやき――八幡堀が誘う、静かなひととき。
八幡山ロープウェーの山麓から徒歩約5分。
その先に広がるのは、水の都・近江八幡を象徴する「八幡堀」です。

白壁の町並みや石垣が続く水辺を舟や徒歩で楽しむことができる人気のスポットです。
周辺には日牟禮八幡宮が鎮座し、風情ある景観の中に、近江牛をはじめとした飲食店やお土産店が立ち並び、散策か食べ歩きが楽しめます。
まちの時間に、そっと寄り添う仁之助コーヒー。
静かな裏通りに佇む「仁之助コーヒー」。
古民家を丁寧にリノベーションし、木の梁と大きな窓が織りなす和モダンな空間に、時間がゆるやかに流れています。
店内に入ると、看板犬の「さすけ」がお出迎え。

とても大人しくて人懐っこいお利口さんです。
この日は、「堀」の浅煎りをオーダー。
フルーティーな香りと軽やかな酸味が印象的で、一口ごとに心がふっとほどけるよう。
それに合わせていただいたサシューとのマッチングも抜群で、コーヒーの豊かな味わいとお菓子のやさしい甘さが絶妙に溶け合います。

看板犬のさすけに会いに来るのもよし、丁寧に淹れられたサイフォンコーヒーをゆっくり味わうのもよし!
近江八幡旧市街の散策途中に、ぜひ立ち寄りたいお店です。
◆仁之助コーヒー
https://www.instagram.com/jinnosuke_coffee/
2.彦根駅ー駅前から始まる、レトロな城下町探訪
彦根駅を出ると、初代の彦根藩主「井伊直政」が出迎えてくれます。

石垣とお堀の水面が、静かに時を刻む――彦根城

彦根駅から徒歩約15分。国宝 彦根城がお出迎えです。
石段を上り天守に立つと、その均整のとれた姿に思わず息を呑みます。
白壁と黒い屋根のコントラスト、巧妙な防御の造り、そして最上階から見渡す滋賀の景色――
どれも現代の喧騒をしばし忘れさせてくれるものばかりです。
レトロな空気が漂う、城下町の商店街――銀座商店街
彦根城を出て約15分歩くと、昭和レトロな風景が広がります。
その一角にある「グリル フレーバー」。昭和の面影を残す店構えに、心がほころびます。

創業はなんと60年。扉を開けると、昭和の面影とやさしい香りが出迎えてくれます。

「ビーフシチューセット」と「ハンバーグとクリームコロッケセット」を注文。

一口食べれば、お肉はほろり。やわらかな野菜とコク深いデミグラスソースが重なり合い、懐かしくも贅沢な味わいが広がります。
コーンスープは、まろやかな甘みが、懐かしい洋食の味をいっそう引き立ててくれました。

ハンバーグは肉のうま味がぎゅっと詰まり、デミグラスソースがそのおいしさを引き立てます。
クリームコロッケは衣サクサク、中はとろとろ。まさに昭和の洋食屋さんの王道セットです。

食後のデザートに「パフェ」と「クリームソーダ」をいただきました。どちらも昔懐かしい味に心まで満たされました。
3.安土駅ー信長の夢が眠る町
安土駅は、戦国武将・織田信長が築いた「安土城跡」への最寄り駅として知られています。
駅の正面には凛々しい織田信長公の銅像が立ち、旅人を静かに見つめています。

万吾樓 ― まけずの鐔に込められた想い
駅の北口を出てすぐ。町の通り沿いに佇む老舗和菓子店「万吾樓(まんごろう)」。

お店に入った瞬間、やさしい甘い香りがふわりと迎えてくれます。
名物の「まけずの鍔(つば)」は、信長の愛刀に据えられた「永楽通宝」の鉄鍔をそのまま写し取った、2色あん入りの手作り最中です。

優しい甘さで、最中の皮も香ばしくて美味しい!ペロリと食べれます。
安土城郭資料館
安土駅南口を出てすぐ「安土城郭資料館」があります。
安土城天主を精巧に復元した大型模型が展示されています。
細部まで丁寧に作り込まれ、往時の華麗さと壮大さがそのまま目の前に立ち上がるようです。
安土城郭資料館を堪能した後は、「安土城考古博物館」にも立ち寄ってみるのがおすすめです。

ここでは発掘資料や映像展示を通して、安土城の実像がより深く、立体的に見えてきます。
上映される映像は、高精細フルCGで再現された幻の安土城。
その美しさ、壮大さは、想像に頼るしかなかったあの城を、目の前にありありと立ち上がらせてくれます。
物語は、信長自らが語り部。
安土城をなぜ築いたのか----
その思いを熱く語りながら、見る者を戦国のロマンへと誘います。
静かな余韻を楽しめる大人の歴史散歩に、安土はぴったりの場所です。

東海道本線が走る湖東エリアには、静かに心を満たす風景が広がっています。
歴史の趣が息づく町並み、四季とともに表情を変える自然。
車窓を眺めていると、ふと途中で降りたくなるようなひとときに出会えます。
電車旅だからこそ見つかる湖東の魅力へ――。
次は、東海道本線の旅へ出かけてみませんか。






