東近江市出身の洋画家・野口謙蔵のアトリエを改築復元した野口謙蔵記念館。
謙蔵が創作活動に励んだこの場所で、昨年度初めて「野口謙蔵記念館アーティスト・イン・レジデンス」（以下、AIR）を実施しました。AIRとは、アーティストを一定期間ある土地に招へいし、その土地に滞して歴史や文化をリサーチしながら作品制作を行うチャンスを提供する事業のことです。特に日本では、アーティストの育成や支援だけでなく、空き家などを活用した地域振興や人の交流による地域活性化の手段としても用いられています。

第1回となる今回は、一人のアーティストが約2か月間にわたり滞在制作を行いました。招へいアーティスト園田源二郎氏は、野口謙蔵の作品に幼いころから親しんでいたこともあり、記念館の周囲に残る野口謙蔵の足跡をたどったり、市内各地で行ったワークショップをとおして地元住民とかかわったりして30点を制作。滞在制作作品展では、期間中にかかわった人々が訪れ、野口謙蔵記念館の新しい可能性がひらけた事業になりました。

本展は、このAIR事業を記録写真や園田さんの作品で振り返るとともに、アーティストの活動拠点として新しいスタートをきった野口謙蔵記念館のこれからについてご紹介します。