神仏を知ろう

明王とは

大日如来の化身で、多くは憤怒(ふんぬ)の形相をし、多面多臂(ためんたひ)(多くの顔を持ち、多くの手を持つ)の姿で表されます。慈悲だけでは救済できない人々を、怒りによって正しい方向へ導く性格を持つ仏像です。

7世紀にインドにおいてそれ以前からあった密教は、バラモン教やヒンズー教の神々を取り込むことにより完成度の高い宗教となりました。大日如来を中心に菩薩・明王・天という体系がつくられ、曼荼羅(まんだら)が考え出され、平安時代の初めに、空海により中国より持ち帰られ、様々な仏像が造られました。

明王

代表的な菩薩をご紹介します。


五大明王(ごだいみょうおう)

不動明王を中心に、東に降三世明王(ごうざんぜみょうおう)、南に軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、西に大威徳(だいいとく)明王(みょうおう) 、北に金剛(こんごう)夜叉(やしゃ)明王(みょうおう)を配する五体の明王を五大明王といいます。天台宗では、金剛夜叉明王に変わって、烏枢瑟魔明王(うすさまみょうおう)とすることがあります。
各々の明王の働きは次の通りです。
 

不動明王(ふどうみょうおう)

一般的には、「お不動さん」「不動尊」の名で親しまれています。不動明王は右手に剣を持ち、左手に索を持ち、光背の火焔は共通しますが、憤怒に満ちた目や口は時代により違いが見られます。平安時代以前の仏像は、両眼は見開き、二牙を上や下に出すものが多いのですが、平安時代以降のものは半眼半開し、二牙を上下交互に表すものが多くなってきます。不動明王の眷属として、八大童子が附属することもあります。また、両脇侍としては八大童子の内の矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制吨迦童子(せいたかどうじ)が造られます。

大津エリア比叡山延暦寺石山寺岩間山正法寺
甲賀エリア:善水寺
東近江エリア:苗村神社
湖東エリア:金剛輪寺常照庵(金剛輪寺)

 


苗村神社
(ナムラジンジャ)


軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)

南方に配置される明王です。軍荼利明王は、種々の障害を除いてくれるとされます。特色は手足に蛇を巻き、猛々しい姿です。仏像としては、一面八臂が多いですが、四面四臂の像も見られます。



湖南エリア金勝寺


金勝寺
(コンショウジ)

降三世明王(ごうざんぜみょうおう)

貧(貪欲)、瞋(怒り)、痴(無知)の三世を屈服させる明王です。東方を守るとされ、三面八臂が多く見られます。あしもとには、湿婆神(しばじん)である大自在天とその妃 烏摩(うま)を踏んでいます。

 


大威徳明王(だいいとくみょうおう)

西方に配置され、様々な悪から人々を守ります。髑髏(どくろ)をネックレス(瓔珞(ようらく))として、水牛にのる六面六臂六足の姿がこの像の特色です。平安時代後期以降、戦勝を祈るため信仰され、造られることもありました。

東近江エリア石馬寺


石馬寺
(イシバジ)

金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)

北方に配置され、諸悪を懲らしめます。眼が眉間を含め五眼を持ち、三面五目六臂となり憤怒の感を一層深く与えます。六つの手には弓や矢や剣を持ち踏割蓮華(ふみわりれんげ)を踏んでいます。



その他、明王には、唯一憤怒相でない孔雀明王(くじゃくみょうおう)、愛欲煩悩を浄化させる愛染明王(あいぜんみょうおう)、最も激しい憤怒相で表される大元帥明王(だいげんすいみょうおう) などがあります。


その他 愛染明王
大津エリア:園城寺(三井寺)